top of page

Vesper = 宵の明星

「I think, I'll call it a Vesper.」
「Because once you have tasted it, you won't drink anything else.」

from 007 Casino Royale / James Bond

01

​時代の変革期、再評価される価値

私たちは今、農耕開始や産業革命に匹敵するほどのインパクトを持つ変革期にいます。
2022年後半にリリースされたジェネレーティブAIが世界の在り方を一変させるその瞬間を目の当たりにしています。
ここから世界は凄まじい勢いで、その姿を変化させていくでしょう。

AIが人の仕事を奪うというような意味合いのことは昔から言われてきましたが、間もなくそれが大きなスケールで実現します。
その結果、人類は幸せになるかもしれないし、不幸になるのかもしれません。

私たちがVesperを立ち上げたのは、あらゆるものがコモディティ化したあとの世界で、人類が幸福であるためです。
多くの領域で、人に代わってAIが労働を担うようになれば、結果として生産活動はどんどんと効率化され、自動化されていきます。
生み出される商品はますますコモディティ化されていき、今以上にモノ自体の価値よりもその背景にある「ストーリー」や「想い」に価値が移っていくと考えています。
AIが効率的に生産できてしまうからこそ、私たちは商品そのものではなく、モノに付随した「想い」や「ストーリー」を消費するようになるのではないでしょうか。
その結果「人間らしさ」を伴った商品の価値が再評価されると考えています。

02

​内なるものが生み出す感動

「ストーリー」を生み出すのは人間の不安定さや衝動、はたまた狂気といった「内なるもの」です。
再現性があり規格がある程度決まっているものはAIが簡単に生産できるようになるでしょう。
でも、不確定な要素や合理的ではないもの、パッションを源泉にしたもの、それらは人間だから生み出せると、それが人を感動させると信じています。

残念なことに、資本効率を求め、利潤を追求する社会においては、パッションを源泉にした商品は蔑ろにされる傾向がありました。
圧倒的な技術と狂気に近い情熱を注ぎ込んで作られた商品よりも、同じ用途を実現する大量生産品の方が安価で手軽だからです。
どんなに時間と想いを込めてモノを作っても、その努力に見合う対価が得られない。
そう言ってものづくりを止めてしまったり、次の代に継ぐのを諦めてしまった先人たちを何人も見てきました。

このまま社会が効率化のみを追求することで、パッションを源泉とした人間のものづくりが衰退していくことは大きな損失です。
ものづくりへの強い意欲を持った人々が、「売れないからもう創れない」と創作を諦めてしまったら、私たちは心を震わせてくれるような商品を手に取ることができなくなってしまいます。

03

作り手、消費者双方が喜びや感動を感じられる世界

効率化だけをひたすらに追及した先にあるのは、心が震えるような経験ができないディストピアです。

とは言え、私たちはAIや、AIの台頭が象徴する商業主義社会を否定をしたいわけではありません。
AIができることはAIに任せて効率化を進め、無駄を省いたプロセスを確立することによって生産性の向上に取り組み、利潤を確保することは正しいことだと考えています。
一方で、AIが人間の「作業」を高度に担えるようになったからこそ、魂を込めて生み出されたものが評価される世界であってほしいのです。

Vesperが創りたい世界は、人間しか作れない感動的なモノを作る人々が評価され、その商品が滞りなく流通し、作り手、消費者双方が喜びや感動を感じられる世界です。
ものづくりに魂を込める作り手とそのモノを手にとることで込められたパッションを受け取り、ストーリーによって心が動かされる買い手を繋げていきたいと私たちは考えています。
作り手を支援し、想いのこもった製品のみを厳選して買い手に届けることが、私たちの最初の事業となります。

そして、数多ある創作物の中から、Vesperは「酒」に着目しました。

その理由はたくさんあります。
まず、私たちが酒が好きだから。
酒ほど人類と縁の深い嗜好品は他にないでしょう。友人や家族との楽しい時間に一花を添えてくれます。
そして何より、酒には1本1本に固有のストーリーがあります。

たとえばワインを1本創るためには、その原料となる葡萄の栽培から考えると果てしない年月が必要です。
栽培に適した土地を入手し、土壌の状態を整え、葡萄の木を育てていかなければなりません。
日照時間や雨量などで毎年葡萄の味が変わり、醸造の過程によってもワインの味が変わります。
何をどう改良することで目指すワインを創り出すか、その試行錯誤にも、作り手のストーリーが込められています。

ワインだけではなく、日本酒やウイスキーなど、調べれば調べるほど、想いとストーリーがこめられた酒が世界にはたくさん存在しています。

AIにより効率化が進む世の中だからこそ、その一つ一つの想いに心を寄せ、その価値、その商品を消費者に届けたい。
私たちはそれを実現したい。

小規模生産の商品が欲しい人のところに届くシステムを作り上げるまでには相当な困難とハードルがあるでしょう。それは業界独自の産業構造かもしれないですし、技術的な問題かもしれません。
でも我々は大きな目標と想いを胸に、素晴らしい商品が消費者に届くまでの障壁を一つずつ取り除いていきます。

酒と、そこに込められた想いやストーリー。
それらに心を震わせ、少し大袈裟かもしれませんが

「これを作ってよかった」
「これを買ってよかった」
「明日も頑張ろう」

 

そう思える人たちが増えること。
それが、私たちが目指していることです。

04

Vesper = 今後の人類にとって暗い夜空の象徴

Vesperという名前は「宵の明星」から採りました。

今後の人類にとって暗い夜空の象徴となるような事業を作っていきたいという想いがあります。

また、VesperはJames Bondが心から愛したVesper Lyndからも採られています。
James BondオリジナルのマティーニをVesperと名付ける時の
「I think, I'll call it a Vesper.」
「Because once you have tasted it, you won't drink anything else.」
というシーンがあります。
痺れてしまうかっこいいシーンなのですが、Vesperをそんな運命の出会いを創出できるサービスにしたいという願いもこもっています。

 

AIが世界の在り方を変えたあとに、人類が幸せであるために。
人間が人間として輝けるように。
私たちはVesperを始めます。

2023/8 Hiroshi Asaka

bottom of page